米俳優トム・クルーズさん主演の人気シリーズ映画「ミッション・インポッシブル」最新作。60歳超とは思えないトムさんのアクションに息をのんだだけでなく、米大統領に黒人女性が就いていたことも目を引いた

▼昨年の大統領選で民主党の候補になったハリス前副大統領を思い出す。不可能だった「ガラスの天井」の打破を映画の世界で可能としたのは、制作者らの願いもあったのだろうか

▼同じスパイ映画の人気シリーズ「007」。主人公ジェームズ・ボンドの上司、英秘密情報局(MI6)長官は、長年女性が演じている。ところが、こちらは現実でも女性が任命された。英メディアは「映画に後れを取った」と、皮肉交じりに報じた

▼皮肉も言えないほど大幅に後れを取っているのが、わが国の男女共同参画の現状だ。世界経済フォーラムが先月発表した「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」で、日本は118位。公表が始まった2006年から世界最低水準をキープしているというから情けない。格差解消への意識が社会全体で低いためなのか

▼参院選には152人の女性が名乗りを上げたが、前回より減少した。候補全体に占める割合も政府目標に届かなかった。146人が出馬し「マドンナ旋風」と呼ばれた1989年と比べてもあまり増えていないのは、ジェンダー・ギャップと同じ傾向だ

▼そんな中、新潟選挙区では4候補中3人が女性だ。3人が県内を駆け回ることで、格差解消への意識が広がればいいのだが。

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