好ましい傾向と捉えるべきだろうか。仕事より余暇に重きを置く人が7割近くに上るという。今年の「レジャー白書」速報版が公表された。しっかりと働く日常があるからこそ、余暇を大切に思う気持ちが高まるのだ、などと考えてみる

▼連休はひとときの非日常を味わえる貴重な機会になり得る。今年は暦の上で3連休以上が9回ある。いや、9回しかない。今週末も3連休だが、その中日に参院選の投票日を迎える

▼補欠選挙を除く国政選挙で投開票が3連休の中日に設定されたのは、現行憲法下では初めてだ。これでは投票率が下がるとささやかれた。基礎票のある政党に有利、だとも。日曜日に実施すべき規定などない。期日前投票ができるとはいえ、勤め人には制約がある

▼石破茂首相は米国との関税交渉で、一方的に書簡を送りつけられ「なめられてたまるか」と勇ましかった。小さく拍手を送りつつ、参院選を巡る風景に同じ言葉をつぶやきたくなる

▼投票日の設定や有権者受けしない政策を語らぬ姿勢に、国民不在のあざとさが透ける。各党の物価高対策には共感するが、選挙が終われば、遠からず負担増の議論が避けられないと身構える

▼企業・団体献金しかり、身を切る政治改革の遅滞は国会全体の怠慢だ。「国民はすぐ忘れる」「鼻先にニンジンをちらつかせておけ」。幻聴だろうか。そんなふうに聞こえる。多くの有権者が一票を投じ政治に目を向ける意思を明示しなければ、政治は変わらない。余暇も大事だけれど。

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