大相撲名古屋場所は中日を折り返し、海洋高出身の新横綱大の里が2敗を喫した。2敗とも、なぜそこで引き技に走るのかと嘆息したが、強くなりたいと誰よりも念じているのは本人のはず。25歳はまだ道の途上なのだと思い至る
▼大の里が心がけるのは「重さの勝負」だと、スポーツ専門誌の最新号で読んだ。単なる体重の多寡ではない。「地に両足を着け、正しい角度で相手に伝える力」だと独特の表現をする。力の源になるのは四股や腰割り、すり足など、基礎運動の徹底だと明かす
▼なぞらえるなら、国民の信頼という基本がゆがみ、朽ちかけていたということだろう。昨夜開票の参院選で、自公政権があっさり重みを失っていくさまを目の当たりにした
▼衆院同様、参院でも大幅に議席を減らした。国政はますます腰が落ち着かなくなった。新たな連立に向かうのか。各党の方向性はバラバラで、再編に向け収れんされていく絵は、にわかに描きづらい。漂流を危惧する
▼旧来の政党離れがうかがえる一方、風をつかみ躍進した新興政党がある。掲げた政策には危うさも漂うが、今とは違う政治を求めた民意に謙虚に向き合い、丁寧に読み解かねばならない
▼米国との関税交渉の期限が迫る。世界の行司役になった気でいる御仁の「待ったなし」が聞こえてきそうだ。まずは何より、政治に重みを取り戻したい。混迷深まる中にあり、地に足を着き、胆力を発揮するのは、与党なのか、野党なのか。その立ち居振る舞いに目を凝らす。