「投げている途中で足がつった」。甲子園を懸けた全国高校野球選手権新潟大会の記事で、こんなコメントを何度か目にした。疲労や緊張もあるが、この夏の猛暑も影響していることだろう
▼ある強豪校同士の対戦で終盤、投手が投げた後に足がつったようなしぐさをした。監督は大事を取って選手交代を告げ、投手はまだ投げられるという表情を浮かべつつマウンドを降りた。試合はその後に失点を重ね、チームは敗退した
▼40年近く前、筆者が高校時代は「練習中はなるべく水を飲むな」と言われた。打撃練習をする際、ヘルメットの中に水を入れた状態でかぶり、たれてくる水滴をなめていた。それでも気温35度を超える猛暑が当たり前の昨今よりはまだよかった
▼広島県などで開催中の全国高校総体(インターハイ)の陸上競技では、今回から暑熱対策で1500メートル以上の種目は予選なしのタイムレース決勝に変更した。選手にとって負担は減るが、順位を巡る駆け引きがなくレースの面白さという点では物足りなさが残る
▼この暑さがさらに過酷になれば、国内では真夏に屋外競技を実施すること自体が不可能になるかもしれない。夏休み期間中に全国大会を行う中学や高校スポーツにとっては深刻だ
▼選手ファーストの観点から、中高生の全国大会を春や秋に分散開催できないものか。こうしたことを真剣に考えざるを得ないほど、今年の夏は暑い。「高校球児には真夏の太陽が似合う」という時代は過ぎたことを、肝に銘じたい。