JA全中の山野徹会長(右端)らと面会する小泉農相(左端)=6月、農水省
JA全中の山野徹会長(右端)らと面会する小泉農相(左端)=6月、農水省

 猛暑の影響や価格の高騰により、コメ生産の現場は混乱が続いている。そうした中就任した小泉進次郎農相は、新たな政策を次々打ち出してきた。「仮渡し金」の廃止要請、「作況指数」の公表中止、随意契約による「備蓄米放出」…。政策の転換を現場はどう受け止めているのか。足元の動きを探った。(3回続きの1)

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 「2万円の壁」。県内JA関係者の間で語られてきたキーワードがある。県内一般コシヒカリの卸売業者への販売価格が60キロあたり2万円を超えると、買ってもらえないという暗黙の「縛り」だ。

 JAは生産者から集荷したコメを「委託販売」し、生産者には集荷時に前金の形で「仮渡し金」を支払う。その後変動する売値や経費をもとに、追加払いや最終精算を行う。

 2024年産では、JA全農県本部(新潟市西区)が昨年8月、県内地域JAに示した仮渡し金の額は1万7千円。輸送費などを加味して「2万円の壁」を超えないものの、前年産の品薄の流れを踏まえおよそ20年ぶりの高い水準とした。

 ところが、仮渡し金提示直後から民間との集荷競争が激化...

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