被爆体験を語る瀧口秀隆さん。左腕には皮膚移植をした痕が残る=広島市
被爆体験を語る瀧口秀隆さん。左腕には皮膚移植をした痕が残る=広島市

 1945年8月6日午前8時15分。米爆撃機B29が、人類史上初めての原子爆弾を広島に投下した。地上の営みが一瞬で壊されたその光景を被爆者は「筆舌に尽くしがたい」と表現する。広島、長崎に投下された原爆による被爆者は今年初めて、10万人を下回った。平均年齢は約86歳。「被爆者なき時代」は迫っている。それでも、語り続ける被爆者や惨禍の記憶を継承しようという若者がいる。あれから80年の「ヒロシマ」を取材した。(報道部・山田史織)=3回続きの1=

 太陽がかんかんと照りつけていた。広島市の天候を調べるB29が飛来した午前7時過ぎ、空襲警戒警報が鳴った。当時4歳で爆心地から1・8キロ地点に住んでいた瀧口秀...

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