太平洋戦争の終結から15日で80年。戦争体験者が激減し、戦場の悲劇は忘れ去られようとしているのではないか。集団的自衛権の行使容認、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有、武器輸出…。敗戦で軍国主義と決別したはずの「平和国家」日本の変節ぶりが際立つ。自衛や抑止の名の下に「力が正義」の危うさが垣間見える。

 南国の林に入ると、顔面が陥没した全身の遺骨が目に入った。近くには別の人物の大腿骨や女性の遺骨が散らばる。今年7月、沖縄県糸満市南部。現地で遺骨収集を続ける具志堅隆松さん(71)が筆者を案内してくれた。「鉄の暴風」と言われた激しい地上戦の現場。遺留品から2人は旧日本兵で女性は住民とみられる。具志堅さん...

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