長岡市歴史文書館が保管している新保和雄さんの取材ノートや原稿=長岡市長倉西町
長岡市歴史文書館が保管している新保和雄さんの取材ノートや原稿=長岡市長倉西町

 長岡空襲から80年となり、戦争の記憶の継承や風化が課題となる中、長岡市民有志でつくる長岡ペンクラブの年刊誌「Penac(ペナック)」はかつて、1945年8月1日の長岡空襲の体験談を連載していた。ペンクラブ会員だった男性が、多くの市民から体験談を聞き取っており、長岡空襲の実像を後世に伝える貴重な資料となっている。

 取材と執筆をしたのは長岡市の故新保和雄さん。自身も長岡空襲を生き延びた。1988年の13号から、「実録 哀哭(あいこく)長岡空襲前後」のタイトルで連載を始めた。休載やタイトルの変更があったが、97年の22号まで続けた。新保さんは98年に69歳で死去した。

 13号で新保さんは「空襲体験を聞き取り書き続けるのが残された者の務め」と、母校の校長から教えられたと述べている。

 多い号では20ページ超に約70人の体験談を掲載し、実名と住所、職業、取材年月日も記した。「火ダルマになり『助けて』泣き声をあげて川に飛び込み流れる人」「『オジジ!助けて!』阿鼻(あび)叫喚の悲鳴がする」...

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