映画「南京写真館」の撮影所を訪れた人たち=8月、中国上海市(共同)
 映画「南京写真館」の撮影所を訪れた人たち=8月、中国上海市(共同)

 衝撃的なクライマックスだった。1人の中国人男性が殺される間際、日本軍兵士に向かって日本語でこう叫ぶ。「私たちは友達じゃない」。日中戦争中に起きた「南京大虐殺」を描く映画「南京写真館」。中国が抗日戦争勝利80周年と位置づけ“歴史戦”を繰り広げる今年公開され、夏の興行収入首位を記録する大ヒットとなった。(共同通信中国総局長 芹田晋一郎)

 抗日作品では映画もドラマも旧日本軍の残虐行為を描くことで、共産党が打ち勝って中国を建国したと主張し政権の正統性をアピールする。しかし抗日記念館では近年、戦後の日中友好の歴史も合わせて展示し、悲惨な歴史を繰り返さないよう未来をつくろうと訴えることも多くなっていた。...

残り908文字(全文:1208文字)