礒崎敦仁・慶応大教授
 礒崎敦仁・慶応大教授

 中国の習近平国家主席肝いりの軍事パレードが北京の天安門広場周辺で実施された。「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利80周年」の記念行事で、閲兵台には中国、ロシア、北朝鮮の最高指導者が並んだ。

 そこだけを切り取れば反米色の強いイベントに映るが、三者の思惑は必ずしも一致していない。米国一強の国際秩序を崩そうとする中国は各国に参加を呼びかけ、韓国は国会議長の派遣で応じた。2015年の70周年行事には朴槿恵大統領が出席したことからも分かるように、韓国は保守・革新を問わず中国との関係性を重視しており、日米とは温度差がある。

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記にとっては2019年1月以来、約6年半ぶりの訪中と...

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