
作家の故・半藤一利さん
第2次大戦が終わってから今年で80年。戦時中の日本では軍事、政治、経済、文化といったさまざまな分野の力を結集した「総力戦」が展開された。国家総動員法の下、国民は全面的な協力を求められた。人々は嫌々それに従っていたのだろうか。必ずしもそうではなく、民衆が進んで戦争を支えようとしていた側面があったように私には思える。そんな軍国主義の「熱狂」が生み出された構造とは? 地域で積極的に協力したある人物に着目して考えてみる。(共同通信編集委員・福島聡)
▽7000通の郵便
岩手県南部の旧藤根村(現北上市)に生まれた高橋峯次郎(1883~1967年)は、地元で小学校教員を務めた。熱のこもった指導で児童に慕...
残り2032文字(全文:2332文字)