
「幽霊の脳科学」
泣いている女性が振り返ると目も鼻も口もない「のっぺらぼう」だった。寝床にどこからともなく人影が現れ、同僚の死を告げた。タクシーに乗せたはずの女性がこつぜんと消えた―。夏の夜には怪談が付きものだ。
著者は「幽霊のようなものを見た」と訴える多くの患者に向き合ってきた脳神経内科医。科学的に怪異の正体の解明を試みた。柳田国男の「遠野物語」や小泉八雲の「怪談」などからエピソードを取り上げ「症例」として紹介。それぞれのエピソードに共通する特徴から仮説を組み立てる。
著者は怪談や幽霊譚には、幻視、幻覚の症状に当てはまるものが多いと指摘する。そしてその背景には睡眠が深く関わっていると述べる。
タクシーから乗...
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