一挙千点で見せる歩み

 いま新潟市美術館では、「開館40周年記念 ほぼせんてんてん、」を開催している。昨年10月より約11カ月続いた改修工事後、最初の展覧会である。「ほぼ千点」の所蔵作品・資料を並べた。「資料」というのは「作品ではないモノ」も含めてのこと、1985年の開館以来40年、館内に蓄積されてきた様々な記憶の痕跡が、展示室の外にまではみ出している。

 40年の歴史を展覧会にする。当然ながら、これは反省的な自己分析を伴う企画でもある。館内随所に残る先任者たちの苦心の跡は、私たちに複雑な印象を与える。故・林紀一郎初代館長は、開館20周年記念の所蔵品図録の序文で「収集方針が曖昧だとか非難を受けた」と苦々しげに回顧して...

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