
愛用のバイオリンを弾く植木周三さん。戦中も、戦後も音楽とともにあった=1995年、新潟市の自宅
戦時中、戦場でバイオリンを奏で、部隊を励ました異色の兵士がいた。妙高市出身の元音楽教師、故植木周三さん。終戦後の捕虜生活では演奏を通じて米軍と交流し、復員後は子どもたちを教え、希望を与えた。「音楽は敵味方なく人と人をつなぐ力がある」と語り、戦争の愚かさを伝えた。
1908年に中頸城郡和田村(現上越市、妙高市)に生まれた。旧制高田中学校(現高田高校)在学時にバイオリンに興味を持ち、辞書を買うためにもらったお金で購入。父親は怒らず支援した。
練習に打ち込み、「『カラスの鳴かない日はあっても、植木のバイオリンを聞かない日はない』と言われたそうです」と、三女の田中幸子さん(85)=新潟市西区=は話す...
残り931文字(全文:1231文字)