
731部隊の部隊員が持ち帰った医療器具=2024年11月20日撮影、長野県飯田市
旧日本陸軍で細菌兵器の開発を進めた「731部隊」(正式名称は関東軍防疫給水部)。国内外の記録や隊員の証言によると、捕虜を細菌に感染させ、死ぬまで観察するといった人体実験を繰り返したとされる。
その731部隊の元隊員が持ち帰った遺品が、飯田市平和祈念館(長野県)に展示されている。80年前にあったことを伝える貴重な史料だ。地元の市民団体は、「戦争の記憶を風化させない」ため、生前の元隊員数人の証言を集めたパネルも作成した。ただ、この証言パネルは展示を見送られた。貴重な証言を開示しないのは、なぜか。(共同通信=大島千佳)
▽「どこかで線を引かざるを得ない」
飯田市平和祈念館の一角には、注射器などの医...
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