
柏崎市東本町3で主にピザカッターを製造している「田辺工房」は、漫画やアニメに登場する武器のような木製のピザカッターを手がけている。漫画やアニメをこよなく愛す店主が「日常にファンタジーを」を創作テーマに、デザインと加工を一手に担う。交流サイト(SNS)で話題を呼んで漫画家からも注目され、作中の武器のデザインにも採用されている。
店主は元大工の田辺勇人(はやと)さん(46)。自宅隣にある作業場には、アニメのフィギュアや木材、これまでに手がけた作品が、所狭しと並んでいる。
子どもの頃からゲームや小説、漫画が好きだった。長岡市の服飾デザインの専門学校を経て、家業の工務店に入った。住宅リフォームを手がける傍ら、自身の趣味を生かしてものづくりをしようと、2007年に工房を立ち上げた。木製の皿や鍋敷きなどの生活雑貨を作り、地元のJA直売所で売り始めた。
大工は持病の影響で続けるのが難しくなって引退。17年から工房での創作に専念する。以前から手がけていたピザカッターの販売に力を入れ始めた。
作るようになったきっかけは10年以上前、息子を喜ばせようと、木製の剣をおもちゃとして作ったことだった。喜ぶ姿を見て、田辺さんはファンタジー作品を題材に「生活雑貨を作れないか」と考えた。自身はピザが好物で「巨大な剣の形をしたピザカッターを作ったら面白い」と思い付いた。
ピザカッターには、ケヤキなどの県産材を使う。30センチほどの物から1メートルを超える物まで、価格も9千円から30万円ほどまでと、さまざま。1カ月で100本売れることもあるという。
デザインは田辺さんのオリジナルだ。「どんなモンスターと戦うのかをイメージしてアイデアを練る」と笑う。実用性も兼ね備え、扱いやすいように、持ち手部分が握りやすく形を整えており、細部にも工夫を施す。
SNS上で「ゲームに出てくる武器みたい」などと話題を呼んだ。SNSでは、エルフの生き残りが旅をする漫画「最後のエルフ」の作者、サワノアキラさんとつながり、作中で登場人物が使う剣に、田辺工房のピザカッターのデザインが使われた。「好きな漫画だったのでうれしい」と話す。
 
注目を集めたことで、柏崎市のふるさと納税の返礼品にも選ばれ、全国のイベントにも出展している。田辺さんは「日々の暮らしの中で、落ち込むことやストレスがたまることもあると思う。田辺工房の作品で、生活の中にファンタジー要素を取り入れて楽しんでほしい」と願っている。
工房の...
 
    























