矢守克也さん
 矢守克也さん

 9月1日は「防災の日」である。政府は1960年の制定時、「政府、地方公共団体など関係諸機関はもとより、広く国民の一人一人が台風、高潮、津波、地震などの災害について、認識を深め、これに対処する心構えを準備しよう」と呼びかけた。

 「広く国民一人一人」とあるが、日本の防災は、むしろ行政や専門家主体で進められてきた。しかし、ここ十数年、行政中心の防災施策だけではいかんともし難い災害が相次いで発生した。「自助・共助」といったかけ声と共に、「広く国民一人一人」が主役となることが求められるようになってきた。

 さて、「シチズンサイエンス/オープンサイエンス」という言葉をご存じだろうか。文字通り、「市民に開か...

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