
福岡県糸島市消防本部のパワハラ問題について陳謝する月形祐二市長(左)ら=2017年3月、糸島市役所
きっかけは、組織の窮状を訴える悲痛な声だった。「このままでは死人が出ます」「助けてください」。2017年3月、福岡県の糸島市消防本部で訓練中に同僚約30人にパワーハラスメント行為をしたとして、職員13人が懲戒免職などの処分を受けた。処分が不当だとして一部の職員が起こした訴訟が9月、約8年半の時を経て最高裁で決着。一、二審と最高裁で司法判断が分かれた法廷闘争は、どのような経緯をたどったのか。(共同通信=帯向琢磨)
▽前例のない大規模処分
糸島市消防本部では職場環境改善のため、全職員を対象に毎年度アンケートをしている。「部下に対する行き過ぎた指導、暴力、暴言が日常的に行われている」「職場にパワハ...
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