揺るぎない最強打者であることを、見事に証明した。さらに投手と打者の「二刀流」も復活させ、新たな金字塔も打ち立てた。二つの偉業をたたえ、さらなる飛躍を期待したい。

 米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が、ロサンゼルスで行われたフィリーズ戦で、50号ソロを放ち、2年連続のシーズン50本塁打に到達した。

 100年以上の歴史を持つ大リーグで、ベーブ・ルースやマーク・マグワイアといった5選手しか成し遂げておらず、大谷選手は6人目となる快挙だ。球史に名を刻んだ一流スラッガーたちと肩を並べたことになる。

 大リーグで歴代最多の762本塁打を記録したバリー・ボンズ選手でさえ到達できなかった。これまでに達成した5人の中には、4年連続で50本塁打以上放ったものの、後に筋肉増強剤の薬物使用が取り沙汰された選手もいる。

 困難である複数年50本を打つには、けがをしないことのほか、長期の不振に陥らないことが大切だ。大谷選手は「我慢強く打席を送れるかが大事」と話している。

 大谷選手は不振に陥ってもすぐに打撃フォームを修正し、抜群の安定感を保っていることが、大記録を生んだ要因だろう。

 5月に自身と球団の月間最多に並ぶ15本塁打を放ったが、6月は変化球の割合が増え、打撃フォームを崩した。

 しかし、的確な修正を施し、7月に5試合連続の本塁打を放った。5本とも変化球を捉えたのは見事というしかない。

 米球界屈指の投手からの直球でも打っており、球種を問わず飛距離を出せる死角のない打撃へと完成度を高めている。

 さらに注目したいのは、投手としての活躍だ。

 2023年9月に2度目の右肘手術を受け、今年6月に約1年10カ月ぶりにマウンドへ上がった。徐々に投球回を増やし、8月には2年ぶりの勝利投手となった。

 50号本塁打を放った日には、5三振を奪い今季54奪三振となった。大リーグ公式サイトによると同一シーズン「50本塁打、50奪三振」は史上初という。

 昨季の本塁打と盗塁の「50-50」に続き、新たな偉業を達成したことに拍手を送りたい。

 大谷選手の超人的な活躍が、これからも国内外の人たちに元気と希望を与えていくに違いない。