画家・モデル 無言の対話

 本展「人・ひと・ヒト」では、加山又造や平山郁夫ら当館所蔵作品の中から人物を主題とした作品をご覧いただきます。

 さて、人物画を描く、中でも「裸婦像」は描く人と描かれる人という関係の中、無言の対話がなされていたのではないでしょうか。

 「見る-見られる」「描く-描かれる」という関係では、画家が主導権を握っていると思いがちですが、時としてモデルは描かれる対象を超えて画家の感性を動かし、見えない「美」に形を与える主導的な役目を果たしていたように思えます。

 「美大の教え子の学生たちの裸婦があまりにもまずいので、私自身、裸婦を試してみたというのが描く直接の動機であった」となんとも単純な動機で始めた加山又造...

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