抜本的対策を取る-信頼を失墜させた-深刻かつ危機的な状況-不退転の決意で再発防止を図る-。2018年以降、操縦士らの飲酒が問題となるたび、日本航空の社長が口にした謝罪と反省の言葉を拾った
▼国交省は事業改善命令や改善勧告、厳重注意を繰り返してきた。操縦士は命を預かる仕事にほかならない。日航が示してきた決意の軽さがむなしい。最近しばしば耳にする自民党の「解党的出直し」という言葉も、なんだか空疎に響き始めている
▼自民総裁選は4日の投開票に向け論戦が続く。「結党以来最大の危機」「倒産寸前」「背骨が大きく揺らいでいる」といった発言もある中、昨夜はネット討論会があった。親近感を高めようという演出は見られた
▼ただ「解党的」の語感が連想させる切迫感とは結びつかなかった。党内の不協和音を生まぬよう、安全運転に徹しているように見える。これまでの党の何をどう変えようとしているのか。それをこそ強調すべきだろう
▼演説会で「もう一度安倍政権の時の力強さを取り戻す」と訴えた候補もいる。「出直し」とは、そういう意味なのか。そもそも一政党の代表選びであり、党内支持の獲得が目的だから党外から口を挟むことはない、と割り切れたらいいのだけれど
▼自民の国会議席は衆参とも過半数に達せず、政党支持率は直近の世論調査で20%台にとどまる。野党が結束する気配がない中、「ほぼ首相」選びが進んでいる。もやもやが晴れぬまま、秋の訪れを肌で実感する。