報徳会宇都宮病院の閉鎖病棟で、江口実さんが入院させられた個室の扉=2023年11月、宇都宮市(江口さん代理人提供)
 報徳会宇都宮病院の閉鎖病棟で、江口実さんが入院させられた個室の扉=2023年11月、宇都宮市(江口さん代理人提供)
 報徳会宇都宮病院の閉鎖病棟で江口実さんが入院させられた個室=2023年11月、宇都宮市(江口さん代理人提供)
 医療保護入院させられた経緯を語る江口実さん(左)と妻富子さん=7月、富山市
 報徳会宇都宮病院
 医療保護入院の問題点を訴える江口実さん(右)と西前啓子弁護士=8月、厚労省

 「まるで拉致監禁。突然羽交い締めにされ、閉じ込められた」。民間の救急車に無理やり乗せられ、遠い他県の精神科病院に医療保護入院を強いられた男性が振り返る。精神疾患はなく、退院後に病院を訴えた裁判では「違法に身体の自由を制限した」として病院に約300万円の支払いを命じた判決が確定した。何が起きたのか。

 富山市で介護施設を経営していた江口実さん(84)は2018年12月12日午前6時半ごろ、妻の富子さん(79)と入居者の朝食を準備していた。富子さんは振り返る。「4人の男の人がよ、土足で黙って入ってきてダーってお父さんを連れて行った。恐ろしかった」。江口さんは「助けて! 110番」と叫んだが、引きず...

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