
千葉大の酒井啓子特任教授
イスラム組織ハマスは、幹部をイスラエルに次々に暗殺され弱体化した。パレスチナ自治区ガザだけでなく自治区全体でイスラエルによる入植地拡大や圧政が強まる今、ハマスとしても生存している人質の全員解放という最後のカードを切らざるを得なかったのだろう。
ハマスとの停戦協議を仲介していた親米カタールをイスラエルが9月に攻撃し、イスラエルがあらゆる調停を破壊する用意があることが明確となった。米国を含めた関係国は、今回が和平の最後の機会と捉えたはずだ。中東の大国サウジアラビアとフランスが7月、パレスチナ国家樹立によるイスラエルとの「2国家共存」が唯一の解決策だと再確認する宣言を出した。西欧諸国やイスラム諸国...
残り830文字(全文:1130文字)