ソウル市立大名誉教授の鄭在貞氏
 ソウル市立大名誉教授の鄭在貞氏

 発表するか否かで注目された石破茂首相の「戦後80年所感」が出された。戦後50年の1995年に、当時の村山富市首相が談話を発表して以来、小泉純一郎氏と安倍晋三氏も、首相時代に戦争に関する歴史認識を明らかにしてきた。今回は発表時期が大幅に遅れた上、閣議決定を経ない首相個人の見解となったが、慣行として定着し得る点で一定の役割は果たしたと言える。

 韓国には「うわさとなっている宴会には、食べるものがあまりない」ということわざがある。評判ばかりが先行して、実際はたいしたことがないという例えだ。石破氏の所感を読み終えた感想はまさにそれであった。韓国に対する言及が一切なかったからだ。

 一方で、日本が軍部の専...

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