画家の志村墨然人さんが花岡事件を題材にして描いた墨絵「花岡蜂起・惨劇曼荼羅の図」=21日、秋田県大館市の花岡平和記念館
 画家の志村墨然人さんが花岡事件を題材にして描いた墨絵「花岡蜂起・惨劇曼荼羅の図」=21日、秋田県大館市の花岡平和記念館
 「花岡蜂起・惨劇曼荼羅の図」に描かれた、中国人労働者を踏みつける憲兵
 「花岡蜂起・惨劇曼荼羅の図」に描かれた、腕を縛られた中国人労働者を殴る憲兵
 6月、花岡事件の慰霊式で、慰霊碑に刻まれた中国人労働者の名前に触れる遺族=秋田県大館市
 秋田県大館市

 憲兵に殴られ、踏みつけられた男が憎しみの表情を浮かべている。秋田県大館市の花岡平和記念館所蔵の墨絵「花岡蜂起・惨劇曼荼羅の図」。同市の鉱山で太平洋戦争末期、強制連行された中国人労働者が一斉蜂起し、多くの人が亡くなった花岡事件を題材にしている。作者は労働を強いた加害者側。絵には自責と償いが込められており、専門家は「歴史の真実を伝える力がある」と語る。

 1945年6月、中国人労働者らは鹿島組(現・鹿島)花岡出張所での劣悪な環境に耐えかねて暴動を起こした。記念館に残る労働者の証言によると、捕らえられた人は三日三晩、食事を与えられず砂利の上に座らされたり、天井につるされ「日本人を殺したのか」と棒で殴...

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