人は学歴で測れるものではないが、東京大学卒業などと聞けば、ちょっと別世界の人かとひるんだりもする。その学府に今春も3千人以上が入学していることを思うと、毎年120人ほどしか招かれないその世界に足を踏み入れるのが、いかにスペシャルなことかが分かる

▼今年のプロ野球ドラフト会議で、オイシックス新潟アルビレックスBCの能登嵩都(しゅうと)選手が阪神の5位指名を受けたほか、関根学園高の池田栞太(かんた)選手らが育成選手として指名された。大歓声の下で野球好きをうならせるプレーを見せてくれることを願う

▼選ばれるのも至難の業だが、生き残っていくのはさらに容易でない。とば口で胸を高鳴らせる新鋭がいる一方、今季で球団から戦力外通告された選手が、事実上を含めこれまでに110人余りいる

▼新潟明訓高出身で、オリックスと阪神に在籍した漆原大(たい)晟(せい)投手もその一人。まだ29歳。実働7年で無念の宣告だったはず。中には栄誉あるドラフト1位指名を受けたのに、全く活躍できないまま解雇された選手もいる

▼子どもたちの憧れの職業とはいえ、脚光を浴びるのはほんの一握り。ひっそり球界を去る選手の方が圧倒的に多い。だからこそ、見る側はプレーに夢を重ねる。選手生命を懸けながら当たり前のような顔をして、卓越した技を見せる姿に喝采を送る

▼来シーズンから、球界の本県関係選手は20人弱になる。手に汗握って応援できるおらが選手が一人でも増えれば、日々の楽しみは増す。頑張ってください。