新商品だと思って確かめもせずに買ったビールを飲もうと、プシュッと開けた時のことだ。缶に「ノンアルコールです」と書いてあるのに気がついた。既に遅し。開けてしまったのでゴクッとやると、これはこれで十分おいしい
▼後日、改めて店で陳列棚を眺めると、見た目がビールや缶酎ハイと似たノンアルコール商品が増えていた。片や、子どもが喜びそうなかわいいイラストが付いたビールもあれば、「これはお酒です」と明記したジュースみたいな缶もある。これは区別が難しい
▼ノンアルが増えているのは、飲めるけれどあえて酒を口にしない生活スタイルが受け入れられてきたからだという。「しらふ」と「好奇心」を組み合わせた「ソーバーキュリアス」という造語と共に、若い世代を中心に広まっている
▼背景には健康志向の高まりがあるらしいが、飲酒をしないことで、パワハラやセクハラなど宴席で起こりがちなマイナスな出来事を回避したい意識も働いているという。飲酒運転を避けられるから時間を気にせずに出掛けられ、自由な時間が増えたように感じる人もいる
▼厚生労働省によると、飲酒の習慣がない人は2019年に55%となり、微増傾向にある。日常的に飲むという人の方が少数派になってきた
▼流行に便乗して、たまにはノンアルに置き換えてみようか。リラックスできれば同じこと。缶本体にアルコールをグラム単位で表示する動きも進んでいる。飲み過ぎて健康や人間関係を損なっては元も子もない。