青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場
 青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場

 本州北端の青森県六ケ所村は戦後「むつ小川原開発計画」、そして核燃料サイクル施設の建設を巡り、村民の賛否が大きく揺れた。使用済みの核燃料を再処理して永続的にエネルギーを確保する目標の達成は大幅に遅れ、放射性廃棄物の受け入れが続く。写真家の島田恵(66)は長年、国策に翻弄された住民の姿を記録してきた。寒村から様変わりした姿に、どんな思いが去来するのか。(敬称略、文・久江雅彦、写真・堀誠)

▽真の豊かさを問う

 ショッピングセンター、医療センター、文化交流施設、運動公園、屋内温水プール…。きれいな道路の両脇には都市部の街並みのように大型の施設が集積している。

 六ケ所村の予算は核燃施設に伴う税収や交付金...

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