「風の神と子ども」という昔話が本県に伝わっている。中学生に語って聞かせたら、新潟弁に興味を持ってくれた-。新潟市北区に住む女性の投書が先ごろ窓欄に載った
▼それはこんなあらすじだ。山の村の子どもたちが遊んでいると、見知らぬ男がやって来て、「おいしいものをたくさん食べさせてやる」と言った。男はしっぽのようなものを出すと、子どもたちを乗せ、空へ舞い上がった。降りた所には栗や柿、梨がどっさり実っていて、子どもたちはおなかいっぱいになるまで食べた
▼夕方になると、男は用事を思い出し、どこかへ行ってしまった。村へ帰れなくなった子どもたちは風の神の親に出会う。親は「その男はわが家の弟の南風だ。兄の北風に村へ送らせよう」と言ってくれた。長岡市の昔話研究家、水沢謙一さんは「山の詩情ゆたかな、素朴な昔話」とたたえている
▼「いっぺある(たくさんある)」「おごった(困った)」「ごっつお(ごちそう)」。昔話には、懐かしい新潟弁が次々に登場する。生徒たちが関心を示してくれたとしたら、うれしいことだ
▼南風は「おじ(弟)」、北風は「あんにゃ(兄)」と呼ばれる。南風は、きかんぼうで気まぐれだと親からあきれられている。けれども、子どもに秋の味覚をごちそうする温かな心も持っている
▼北国を覆った雪と氷を解かしてくれるのは、暖かな南風である。天気予報のコーナーから雪だるまマークを吹き飛ばし、太陽マークを連れて来てくれる日が待ち遠しい。
