駅弁の起源をたどってみると、一つの説として明治18年の宇都宮駅というのが出てくる。日本で鉄道が開業してから13年たっての登場ということになる。それは、にぎり飯だったそうだ
▼記録によると、ごま塩のついたにぎり飯2個と、たくあんを竹の皮で包んだ弁当だった。この駅弁が5銭で売り出されたらしい。ご当地の特色を競う現代の駅弁とは違い、とても簡素だ。中には王道の梅干しが入っていたろうか、と想像してみる
▼ついでに想像してみると、そのにぎり飯、どんな大きさだったろう。相当ずしりと重かったのではないか。なにせ世の中が激動した明治だ。時代の活力を思えば、特大サイズが似合うだろう
▼コメ消費量について農林水産省の統計を見てみると、昭和半ばの1962年度の数字に出合う。それはドリンク剤のリポビタンDが世に出たころであり、日本経済が成長路線を突き進んだ時代。1人当たりのコメの消費量は、年間約120キロだったという
▼炊いて膨らむことを勘案して計算すると、1日に茶わん5杯近く食べていたことになる。それに比べて令和の昨今はというと、大きく減って、年50キロぐらいといわれる。1日当たりに直すと、茶わん2杯ほどにとどまる
▼コメ消費が減ってきたのは、食の多様化が進んだ影響だといわれる。そうかもしれないが、日本社会の活力の陰りも関わっているのではないか。コンビニの棚に並ぶおにぎりと向き合うと、そんな気がしてくる。なんともかわいらしいサイズだ。
