著名人の訃報が相次いだ。護憲ハト派の象徴とされた元自民党総裁の河野洋平さんは、今の政治に何が足りないのかを問いかけるように逝った。悲報に触れた翌日、元ボクサーでタレントのガッツ石松さんが、そのまた翌日には俳優の中村玉緒さんが他界したと報じられた

▼世の常とはいえ、人の死はさみしい。マスメディアの全盛期、誰もが知る人が格段に増えた。団塊の世代が後期高齢者となり多死時代を迎えるこれから、過去になく追悼を繰り返す日々が来るだろう

▼ガッツ石松さんの死去を伝えた日の紙面に、もう一つ訃報が載った。新発田市長を5期20年務めた近寅彦さんが96歳で鬼籍に入った。1978年からの任期を振り返ると、そのまま地方政治の歩みが見えてくる

▼革新市政の転換を図る保守の切り札として県の部長職から転身した。当時の君健男知事は、医師の後輩で直系とされた近さんを送り出す際、新発田を含む衆院2区の保守系3代議士の結束した支援を条件にしたとされる

▼君さんの死去と金子清さんから平山征夫さんへの知事交代、衆院の小選挙区制導入など、20年間に政治環境は激変した。新新バイパスが全通し、県北の高速道路建設促進の機運も高まった。五十公野エリアの整備も進んだ

▼引退表明を撤回しての出馬は理解されず、多選批判もあって6選はならなかったが、確かな足跡を残した。その新発田市では今年、現職市長が5選を目指すかが注目されている。時の流れを俯瞰(ふかん)しつつ今を見つめたい。