こっちは寝る間も惜しんで天下国家のために頭を悩ませているのに、らちが明かないことにいつまでこだわってるの-とでも、思っているだろうか。高市早苗首相の胸中をおもんぱかってみた。空想なのであしからず

▼高市氏の秘書が総裁選の対立候補を中傷する動画投稿に関わったとする疑惑が、くすぶり続ける。もっと重要な政策課題があるという指摘はもっともだが、話が食い違ったまま何もなかったことにはできない

▼秘書と相談して動画を作ったとする男性は、実名と顔をさらした。やりとりした音声記録も開示したほか、共同通信は男性が通話した携帯の番号が秘書のものだと確認した。首相は全面否定し、今後の調査は拒否している。他人の中傷は自分の流儀ではないという

▼どこか、放送法の解釈変更を巡る3年前の言動を想起させる。言論弾圧につながる変更を試みた経緯を記す総務省の文書を、文書作成時に総務相だった高市氏は捏造(ねつぞう)だと国会で断言した。信用ならぬと迫る議員には「信用できないなら質問しないで」とキレかけた

▼ひるまず、ぶれずを個性に政治家として支持を集めてきたのだろうが、今や、押し通し、突き進むスタイルだけでは足りない立場にある。合点がゆく説明がないから、取り沙汰されることになる

▼否定をしても疑われる首相が憤まんやるかたない思いでいるとすれば、議論が続く刑事裁判の再審制度見直しにも熱意が増すことだろう。真実をゆがめる不正義が決して放置されてはならぬと。