1998年にフランスで開催されたサッカーワールドカップ(W杯)は日本のファンにとって日本代表が初出場した大会として記憶に刻まれている。一方で、イラン・イスラム革命をきっかけに関係が悪化していた米国とイランの対戦も世界の注目を集めていた
▼両国は1次リーグで当たり、イランが2対1で勝利した。首都テヘランでは試合が終わると市民が街に繰り出し、喜びを爆発させた。当時の最高指導者ハメネイ師は「傲慢(ごうまん)な敵に敗北を味わわせた」とチームをたたえた
▼政治的対立が深まる中であったが、選手は冷静だった。試合前はチームごとの撮影に加え両国の選手が交互に並んで肩を組む姿でも写真に納まった。国際サッカー連盟(FIFA)は両チームの行動に「フェアプレー賞」を贈って称賛した(「エピソードで読む世界の国243」)
▼W杯北中米3カ国大会が11日(日本時間12日)に開幕する。米国とイスラエルによるイランへの武力攻撃によりイランの参加が危ぶまれたが、どうやら出場できそうだ
▼米政権高官がイランに代わりイタリアを出場させようとFIFAに要請したとの報道もあった。しかし、イタリアのスポーツ担当相は「第一に不可能。第二にいい考えではない」と一蹴した。当然だろう
▼米国とイランはそれぞれのグループリーグで2位になった場合、決勝トーナメントの1回戦で対戦する。フランス大会のようなスポーツマンシップが発揮されるのか。日本代表の戦いとともに注目している。
