格言や寸鉄人を刺す警句の類いには、なるほどと膝を打つものがある。考えさせられるものもある。先人が珠玉の言葉を今に残す。友にまつわるものも多い

▼コラムニストの小田嶋隆さんは青春時代を振り返り、「友だちは愚行とわかちがたく結びついている」と書いた。羽目を外し、愚かなひと時を共有する。そんな経験を重ねることで親密さが増していく。共感する人もいるのではないか

▼分別盛りの社会人になると、友達付き合いに損得勘定が働くことがある。仕事上の打算が絡むからか。彼我の肩書が気になるせいか。同僚や取引先といくら懇親を深めても、若いころの友達とは何かが違うような気がする

▼各国の思惑が絡み合う国際社会では、昨日の敵が今日の友になることも珍しくない。相手との間柄は時々の情勢で変わる。ある時は近づいたり、またある時には離れたり。国同士の関係の濃淡は、経済や文化などさまざまな分野にも及ぶ

▼何よりも自国の利益を優先し、「多くの同盟国も友人とは言えない」と言ってのける大国の指導者には、独特の友の定義があるに違いない。ほかの国のことはお構いなし、自らの奔放な振る舞いを受け入れてくれる者だけが友なのだと

▼おれのものはおれのもの、お前のものはおれのもの。世界を見渡せば、そんな姿勢が垣間見える国がほかにもある。先の衆院選に圧勝した高市さんはどう接していくのか。権柄(けんぺい)ずくで周囲を振り回す「友達」との付き合いには用心するに越したことはない。

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