オリンピックでは毎回のことながら、アスリートが織りなすドラマに心を動かされる。前半を終えたミラノ・コルティナ大会から一つ挙げるとすれば、ジャンプ混合団体で銅メダルを決めた高梨沙羅選手が、出場しなかった伊藤有希選手に肩を抱かれ嗚咽(おえつ)する場面だ

▼前回大会の同じ種目で、日本は高梨選手の規定違反でメダルを逃していた。当時メンバーだった伊藤選手は、2歳年下の後輩の絶望を一番間近で見ていた。自責するどん底から再起した勇気も知るだろう。2人の言葉を越えた対話が伝わった

▼伊藤選手はいつも笑顔で仲間を励ます姿が印象深い。自分の成績が振るわなくても悔しさを胸に納め、勝った仲間をめちゃくちゃ元気に祝福していた。メダルにも劣らず心に残る

▼こんな仲間がいれば心強いけれど、果たしてこちらの政党はどん底からどうやってはい上がるか。衆院選で壊滅的敗北を喫した中道改革連合が再生に向け、小川淳也新代表を選出した。必要とされる政党となり得るかの岐路に立つ

▼選挙直前の突貫の新党結成は新風を起こすどころか、野合のそしりを受け、種火すら消しかねない寒風にさらされた。ただ、極論に振れない中道の理念が全て否定されたわけではない。大敗とはいえ、獲得した1千万を超える比例票は重い

▼結党で掲げた「共生と包摂」は、今の党内にこそ求められる。腰を据えて地道に足場を固め、目指すべき社会の将来像を描ききれるか。理念を貫く胆力があるか。実行で示すほかない。

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