歌手のさだまさしさんは子育てで心がけたことがあるという。「『普通は駄目』ということだけは徹底してきた。ヘンじゃなきゃ駄目だと」。医師の鎌田實さんとの対談で語っていた
▼一般的な「普通」ではないことを褒めたという。ただし、ヘンにも流儀がある。「要するに喜ぶ人がどれだけいるか。喜ぶ人がいっぱいいるヘンは良いヘン。迷惑する人が多いヘンは駄目なヘンなんですよ」
▼行儀よく言うなら「個性の尊重」なのだろう。そんなさださんでなくても、とびきり誇らしく思える銅メダルだった。ミラノ・コルティナ五輪のスノーボード男子ハーフパイプで、妙高市の専門学校に通う山田琉聖選手が独創性を持ち味に栄誉を手にした
▼小さい頃から、似通った技で競い合うのが嫌いだったという。トップレベルになってからも主流となる高回転技に背を向け、「自分を貫く」とやりたい技を磨き続けた信念が花開いた
▼急速な技の進化で危険度が高まった現状への懸念が、採点に影響したとみる専門家もいた。好ましい傾向だと感じる一方、老婆心も芽生える。速さや回転数などの客観的な指標とは違い、独創性や自由度に点数を付け順位を決めることが、果たして理路整然とできるのかと
▼スポーツは一定の枠組みの中で成立するもの。そこに厳しさと面白さがある。私たちの日常生活はジャッジに採点されたりしないけれど、周囲を楽しくさせるような独創性は評価されていい。優劣や序列とはさらさら縁のない価値として。
