もう春かと思うような先週末の昼下がり、陽気に誘われ車を走らせた。混み合う道路を避けているうち、田んぼに囲まれた農道脇の空き地にたどり着いた。雪はない。のどかな風景の一部になる
▼買った弁当を平らげ、シートを倒して息を吐く。空に浮かぶ雲は動いていないように見えて、ぼんやりする間に形を変える。消えうせた雲もある。いつの間にか、静かに湧いた雲が太陽を覆い隠していた
▼次第に姿を変えていくもの。今ならば、国の在り方を重ねる。国論を二分するような政策を推し進めると宣言していたわけだから、そのつもりでいるべきだろう。高市早苗首相が第2次内閣を発足させた
▼「推し活」を想起させる人気で、自民党を衆院選の大勝に導いた首相である。自民の得票率は小選挙区で49%、比例区で36%とはいえ、錦の御旗を掲げる巨大与党の下で、いよいよ積極財政や安全保障の抜本強化など政策の実体が問われる局面に入る
▼選挙で信任したのだから後はよしなに…というわけにはいかない。「製造者責任」という概念もある。さすがは高市さんだと信頼を深めるにせよ、そうではないにせよ、国会で語られる言葉に、法案の中身や審議の手法に、目を向けておきたい
▼時代の変わり目は、看板や注釈を付けて訪れはしない。気付かぬうちに、景色がすっかり変わってしまうことがある。意図して分からぬように塗り替えられるときもある。雲が形を変えるのを眺めるように、傍観している場合では、恐らくない。
