スピードスケートの五輪金メダリスト高木菜那さんは、ミラノ・コルティナ大会で解説を務めている。現役引退後は多方面で活躍しているが、思いがけないところでも奮闘ぶりを目にした
▼ローカル路線バスを乗り継いで目的地を目指すテレビ番組だ。路線がない区間は長距離でも歩かなければいけないルールがある。弱音を吐く出演者を励ましつつ、高木さんはずんずん歩く。バス旅ではなく、徒歩の旅を見ている気分にもなるが、ゴールを目指す執念はさすがだ
▼とはいえ、バス路線がつながらないことを笑って見ていられるのはテレビだけだ。路線がなくなってしまえば、通院や買い物に事欠く。切実な問題だ
▼2025年版の交通政策白書によると、23年度に全国のバス事業者が廃止した路線距離は計2496キロに上るという。要因は人口減などによる乗客数の減少に加え、深刻な運転手不足がある
▼本県の状況も同じだ。新潟交通は昨年8月に1年半ぶりの減便に踏み切った。主な要因は運転手不足だった。新潟市は大型2種運転免許の取得支援や、新規就業した運転手への家賃補助などを行ってきたが、十分な人数の確保には遠いという
▼先日公表された新潟市の新年度予算案では路線バス網の維持を図る施策に加え、区バスや住民バスを拡充する費用も盛り込まれた。中央区では地域を回る独自バスの運行を目指して住民が動いている。公共交通対策は正解を出しづらい難題だと言える。高木さんのような明るい突破力がほしい。
