あの交通公園のすり鉢状の滑り台で遊んだだろうか。バイパス下を通るゆめトンネルのタイル絵画は覚えているかな。創業60年の肉屋さんが水曜と土曜だけ販売する名物コロッケは多分食べていただろう。新潟市の女池小学校に通ったころの姿を想像してみる
▼卒業後に拠点を移してわずか5年、オリンピックという至高の舞台で鮮烈な光を放った。私たちと同じ地で育ち、夢を温め、世界に羽ばたいたフィギュアスケートの中井亜美さんが、誇らしくて仕方ない
▼銅メダルの決め手は、やはり得意のトリプルアクセルだった。これが私だ、と胸を張れる切り札を持つ圧倒的な強みである。たじろぐこともなく力を出し切った度胸にも、驚くしかない
▼前半ショートプログラムで首位に立った演技は圧巻だった。最終的に、今季で引退する坂本花織さんに順位を譲った形になったのも、意図したはずはないが何だかつつましいような、収まりもいいような
▼17歳で重いメダルを手にしたけれど、表現力など演技点の伸びしろはまだまだ大きい。練習も人生経験も重ね、スケーターとしての奥行きや深みを増しながら成長する姿を、これからも楽しみにしたい
▼類いまれな素質を花開かせたのは、本人の努力や家族の支えがあってだが、地元に本格的なアイスアリーナが完成していなければ、こんな日は迎えられなかっただろう。地方でも子供の可能性を広げ、秘めた力を引き出してあげられる環境はつくれる。新潟がそういう地であり続けたい。
