ミラノ・コルティナ冬季五輪が幕を閉じて1週間になる。今でも、白熱したシーンをいくつも思い出せる。最終競技となったアイスホッケーの男子決勝もその一つ
▼1対1の激戦は延長にもつれ込み、シュート数では劣っていた米国がサヨナラゴールでカナダを破った。見るつもりもなく見始めたはずなのに、未明のテレビの前で一人、悔しくてがっくり肩を落とした
▼女子のスマイルジャパンの試合は見ていたが、男子の予備知識はほぼなかった。聞けば両チームとも北米プロリーグのスター選手を集めたという。どちらにも肩入れする理由はないが、気付けばカナダを応援していた
▼思うに「カナダは米国の51番目の州になるべきだ」と再三発言した米大統領の顔が浮かんだからだろう。スポーツには関係ないと頭では分かる。ただその後、一般教書演説の会場にトランプ氏が優勝チームを招待したのを見れば、興ざめも甚だしい
▼五輪開催中、米連邦最高裁が大統領肝いりの「相互関税」は違法だと判決を下した。法に則した判断の中にも米国の良心を垣間見る。大統領寄りとされた保守派の判事も賛同した。国民が全て国の指導者と同じ顔をしているはずはない。当たり前のことだ
▼判事を国の恥と罵倒した大統領は、相互関税に代わる関税を早くも発動させた。国際協調に背を向け続ける。「力による平和」を掲げる米国は、イスラエルと共にイランへの攻撃に踏み切った。米国の良識ある市井の人々が望んでいることとは思えない。
