両国とも交渉のテーブルに戻るべきである。この機会を逃せば、戦闘が泥沼化する恐れがある。停戦を維持し、対立解消への粘り強い協議を続けねばならない。
米国とイランが戦闘終結に向けパキスタンで始めた対面協議は、合意に至らず終了した。
トランプ米大統領が7日に表明した2週間の停戦期限まではまだ時間があるが、それぞれの代表団は帰国した。
協議後、トランプ氏は、エネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡を封鎖する作業を始めると表明した。海峡を事実上封鎖するイランへの対抗姿勢といえる。
イランが石油を販売できないよう、米中央軍はイラン港湾への出入りを13日から全面的に阻止すると発表した。
米紙はさらに、トランプ氏が限定的攻撃の再開を検討していると、報道した。
力による打開は許されない。中東の混迷を深めるばかりだ。
事実、イラン革命防衛隊は米側の「封鎖」に対し、「近づこうとする軍艦は停戦違反と見なす」と警告した。互いの挑発による緊張の高まりを懸念する。
交渉では、米国側が核開発の停止やホルムズ海峡の開放など6項目を要求したが、イラン側が大半を拒否したとみられる。
イラン代表団を率いたガリバフ国会議長は、米側が「われわれの信頼を勝ち取れなかった」と、不信感を示した。
交渉が行き詰まると、態度を二転三転させ、軍事力行使も辞さないトランプ流が、不信感の背景にあるのは間違いない。
米国は駆け引きでなく、これ以上の犠牲を生まない沈静化の道を探らねばならない。攻撃以降、世界経済をどれほど混乱させているか、認識する必要がある。
自制すべきは、米イランだけでなく、トランプ氏と共にイラン攻撃に踏み切ったイスラエルのネタニヤフ首相である。
イスラエルは、米イランの停戦合意後もレバノンで、親イラン民兵組織ヒズボラへの攻撃を続けた。停戦対象にレバノンは含まれていないとの主張だが、イランは含まれると反論している。
ネタニヤフ氏は「やるべきことは多く残っている」と述べ、ヒズボラ排除を続ける構えを見せる。
イスラエル国内では、対イラン作戦で体制転換などが達成されないことに、野党から突き上げが起きている。
ネタニヤフ氏が批判をそらすためにレバノン攻撃を継続しているとの見方がある。
イスラエル軍とヒズボラの交戦が再開した3月2日以降のレバノン側の死者は既に2千人を超えたと報じられる。
どれだけ多くの命を奪うのか。イランとの停戦を揺るがす愚行をすぐに停止すべきである。
