子供や孫を思う気持ちに付け込み、社会福祉への貢献という善意を逆手に取る。今度は司法権力に抱く畏怖心の悪用だ。特殊詐欺の手口は「オレオレ」から福祉施設への出資を巡る名義貸しなどに広がり、最近は偽警察官が横行する

▼人が何に反応し、どんな弱みを持つか、心理学や行動原理を研究しているのだろうか。正直で律義で家族愛や隣人愛に厚い人が、こつこつためた財産をだまし取られている。許せない

▼県内で昨年発生した特殊詐欺事件では、総被害額の約7割が偽警察によるものだった。愛媛県では警察官や検察官を装った男らに、80代の女性が12億円を詐取される被害が起きている

▼4月に入り、偽の逮捕状が送りつけられる新手の詐欺が、県内で2件相次いで確認された。逮捕状の郵送はもとより、警察が現金を要求するなどあり得ないが、受け取った人はギョッとしたことだろう

▼薄気味悪いのは、偽の逮捕状に氏名や住所、生年月日が記されていたことだ。私たちは各種サービスを受ける際に個人情報を提供している。疑いたくはないが、情報がどこでどう売り買いされ、悪用されているのか分からない

▼先日、わがスマホにも「警察」から電話があった。「新潟県警の捜査2課です」と名乗り「○○さんの携帯電話ですか」と妻の名を出してきた。違うと答えるとあっさり切れた。妻の名と自分の携帯電話番号の組み合わせで登録や届け出をした記憶をたどるが、詮のないこと。何とも容易ならざる世を生きている。