〈狭い部屋で仲間と夢描いた いつかはこの国目を覚ますと〉。1976年「路地裏の少年」でソロデビューしたシンガー・ソングライターの浜田省吾さんが、今月で活動50年を迎えた。どうですか、浜田さん。半世紀を経て、この国は目覚め、良くなったでしょうか?

▼コンサートのチケットを取るのに何度も外れ、悔しい思いをさせられた。弱者の視点から世の中を捉えた多くの歌が、魅力の一つだと思っている

▼浜田さんの父親は警察官だった。原爆投下後の広島市内へ救助活動に入り、被爆する。子供の時に、父から聞いた被爆地での体験談は、原爆資料館で見た以上の恐ろしさを浜田さんに与えたという。同じころにキューバ危機が起こり、「その時の恐怖心が、ボクの核戦争に対しての原体験になってる」と語っている(田家秀樹著「陽のあたる場所」)

▼原爆や核を取り上げた歌は、被爆2世として訴えたかったテーマなのだろうか。権力者を批判し、〈この星が何処(どこ)へ行こうとしてるのか もう誰にもわからない〉と警鐘を込めた「僕と彼女と週末に」。80年代に作られた歌だが、米国やロシアといった世界の大国の現在の振る舞いを見ると、歌詞のような不安が、現実味を帯びてくる

▼戦火はやむことがなく、多くの命が失われ続けている。〈子供は夢見ることを知らない〉とのフレーズが悲しく響く

▼「音楽って祈りだと思うよ」と浜田さんは述べている。そうならば、平和への祈り、願いをこれからも歌い続けてほしい。