2025年2月にロシア軍の無人機攻撃を受け損傷したウクライナのチョルノービリ原発4号機を覆う鋼鉄製シェルター=2025年8月(ゲッティ=共同)

 事故を起こした原発を覆う高さ100メートルを超える鋼鉄製シェルター上部にロシアの無人機が直撃した痕跡があった。「15メートルずれていたら大量の放射性物質が拡散する大惨事だった」(原発職員)。ウクライナのチョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故から26日で40年。ロシアの核の脅しは続き、史上最悪の原子力災害の終息は見えない。

 4月初旬、ウクライナ政府の許可を得て原発に入った。服と靴を脱ぎ、白衣とヘルメットを身に着ける。マスクと手袋で肌を覆い、放射線測定器のゲートをくぐる。

ウクライナ・チョルノービリ原発の「黄金回廊」=4日(共同)

ウクライナのチョルノービリ原発を歩くオレクサンドル・フリホラシュさん=4日(共同)

 1号機から、事故があった4号機まで続く約1・2キロの「黄金回廊」を進む。案内してくれた原発幹部のオレクサンドル・フリホラシュさん(53)が立ち止まった。作業員、ワレリー・ホデムチュクさん=当時(35)=の慰霊碑だ。「この壁の先に4号機の原子炉建屋がある。放射線量が高く、人間は中に入れない」

ウクライナのチョルノービリ原発事故で亡くなったワレリー・ホデムチュクさんの慰霊碑=4日(共同)

 別の建物にある4号機の制御室に入る。薄暗い部屋に無数のボタンが並ぶ。原子炉の運転には40秒ごとに操作の切り替えが必要だった。作業員は椅子に座る余裕がなく、立ったまま作業した。

ウクライナ・チョルノービリ原発4号機の制御室。指さしているのは爆発を引き起こしたとされるボタンがあった場所=4日(共同)

 フリホラシュさんによると、あの日、試験運転中に作業員が非常停止用の「AZ5」ボタンを押した。3秒後に原子炉の出力が3倍になり、その3秒後に爆発した。

 明らかな設計上の欠陥だったが、ソ連当局は現場のミスと断定。フリホラシュさんは「『悪い人間が良い原子炉を壊した』という理屈にするしかなかったのだろう」と無念さをにじませた。

ウクライナ・チョルノービリ原発4号機の原子炉建屋。「石棺」に覆われている=4日(共同)

 4号機の原子炉建屋は...

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