「世紀の一戦」とうたわれながら、その名にたがわぬ戦いはめったにない。ただ、今回はそう表現するほかない。考えるだけでそわそわする。いっそ戦わずにいてほしいとすら思えてくる

▼きょう東京ドームで、ボクシングの世界スーパーバンタム級主要4団体統一戦のゴングが鳴る。王者の「モンスター」井上尚弥選手と、世界バンタム級で2団体の頂点に立って階級を上げた中谷潤人選手が、初めてグローブを交える

▼世界4階級を制覇した33歳の井上選手と3階級を制した28歳の中谷選手は、ともにプロ32戦で負けなし。KO率の高いハードパンチャー同士だ。日本のボクシング界が誇る両者が全盛期に戦うことに価値がある

▼全階級を総合した世界ランクで1位に君臨した時期もある井上選手は、野球界の大谷翔平選手に比肩するプロアスリートと言っていい。その怪物が「プロに入ってから一番やりにくい」(専門誌)と語る中谷選手は、懐深く鋭利で骨太な戦いぶりがファンを魅了する

▼これまで並み居る強敵に敗北の屈辱や悲哀を味わわせてきた比類ない強者同士であっても、戦えばどちらかが一敗地にまみれる。上には上がいるという容赦ない現実を、観衆は目にするだろう

▼スポーツとしての結末もさることながら、この一戦が2人のその後をどう方向付けるかにも興味をそそられる。記憶に残り続けるのは、きょう勝つか負けるかではないかもしれない。それにしても、独占ライブ配信する視聴料のなんと高額なことか…。