実験に使ったJ―PARCの「高運動量ビームライン」。逆円すい状の部品の先端部分で陽子と銅、炭素原子が衝突する=茨城県東海村(成木恵京都大教授提供)
 実験に使ったJ―PARCの「高運動量ビームライン」。逆円すい状の部品の先端部分で陽子と銅、炭素原子が衝突する=茨城県東海村(成木恵京都大教授提供)
 真空の揺らぎと実験の狙い

 物質が持つ「質量」の起源に迫る実験を、京都大などの研究チームが始めた。茨城県にある大型の加速器を使い、水素の原子核である陽子を高速で的にぶつけ、飛び出した粒子を詳しく調べる。同じ種類の粒子でも、生まれた環境によって質量が変わることなどを確かめるのが目的だ。

 理論によると、真空は何もない空間ではなく、素粒子クォークと、電荷が逆の反クォークのペアが現れたり、再びくっついて消えたりしている。こうした状態を「真空の揺らぎ」と呼ぶ。質量は、物質の前にこのペアが現れ、動かしづらくさせることで生まれる。物理学で言う質量とは、要は物質の「動かしにくさ」のことなのだ。

 2013年のノーベル賞の対象になった「ヒッグ...

残り1065文字(全文:1364文字)