カメラの撮影に使う三脚は、なぜ脚が3本なのか。2本ではぐらぐらするし、4本でも地面にでこぼこがあると平衡が得にくい。3点で支えるのが安定しやすいようだ

▼だからなのか「3」という数字は、安定を象徴するという考え方があるという。日本人もこの数字が好きらしく「3人寄れば文殊の知恵」「石の上にも3年」など、3のつくことわざは多い。同種の名高いものをひとまとめにして「3大〇〇」と呼ぶこともある

▼今回の参院選について報じた紙面を見ると、3に関係する言葉が目に留まる。自民が大勝し、与党をはじめ憲法改正に前向きな「改憲勢力」は国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持した

▼発議できるラインを過半数ではなく3分の2以上としたのは、ある程度安定した多数の賛成が必要だという理念が背景にあるのだろう。その条件は満たし続けている。ただ、改憲勢力の中でも個別の論点を巡っては溝もある。行方は見通しづらい

▼こんな「3」もある。現政権は昨年秋に衆院選を終えたため、解散しなければ今後3年間は大規模な国政選挙がない。選挙に煩わされず、腰を据えて大きな課題に取り組めるとして「黄金の3年」と呼ぶらしい

▼今回の参院選を経て、現政権は長期安定政権への足掛かりを得たといえるのか。もっとも、過去を振り返っても時の首相は自身に有利なタイミングで解散総選挙を仕掛け、権力基盤を固めようとすることが多い。この先の3年にはどんな場面が待っているだろう。

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