夕方の通勤時間帯を迎えたバンコク中心部の交差点。渋滞が激しく、車の間をすり抜けるためにバイクを使う人も多い=2026年5月(撮影・浮ケ谷泰、共同)
 夕方の通勤時間帯を迎えたバンコク中心部の交差点。渋滞が激しく、車の間をすり抜けるためにバイクを使う人も多い=2026年5月(撮影・浮ケ谷泰、共同)
 バンコク中心部の待機場所に愛車のバイクを止めるオッド。「田舎から出てきたやんちゃな男が多い」という運転手仲間をうまくまとめる秘訣(ひけつ)はこの優しい笑顔だ=2026年3月(撮影・浮ケ谷泰、共同)

 暑い。アスファルトに直射日光が降り注ぎ、立っているだけでめまいがする。ひっきりなしに車やバスが行き交い、排ガスのにおいが鼻をつく。チットポカイ・チャンタケット=通称オッド=(43)が客を待つのはそんな道路の脇だ。タイの首都バンコク中心部のアソーク。仕事道具は125シーシーのバイク1台。客は後部座席にひょいっとまたがる。オッドはハンドルを握り、指示された目的地に向けて走り出す。

 バンコクの住民にとって「バイクタクシー」は生活の足だ。入り組んだ路地、慢性化した渋滞、耐えがたい暑さ。歩きたくない客のために運転手が待っている。小回りを利かせて車の間をすり抜けると、生ぬるい風が顔をなでる。運賃は距離に応...

残り1877文字(全文:2176文字)