田んぼに降り立ったトキ。害獣対策の電気柵に触れないか心配する声もある=6月、石川県宝達志水町
田んぼに降り立ったトキ。害獣対策の電気柵に触れないか心配する声もある=6月、石川県宝達志水町

 あの時と同じように、翼を広げ大きく空を舞った。5月31日、石川県能登地域の羽咋(はくい)市で行われた、本州初となる国の特別天然記念物トキの放鳥。2008年の佐渡での初放鳥から18年。野生復帰の舞台は本州へ移り、復活へのプロジェクトは第二章に入った。クマなど野生動物との共生が課題となる中、トキの繁殖・放鳥は何を問いかけているのか。一度野生絶滅したトキの野生復帰に取り組む本県から、連載企画「野生と生きる」を通して、野生動物との関係や温暖化が進む環境変化について考える。

 日本海に突き出た石川県の能登半島は南北に長い。5月末に本州で初めてトキが放鳥された羽咋(はくい)市は半島の付け根部分に当たる。1970年に本州最後の1羽「能里(のり)」が捕獲される前、トキは季節に応じ半島内を移動していた。羽咋市は夏場の生息地だった。

 石川県などでつくる「能登地域トキ放鳥受入推進協議会」アドバイザー、小宮輝之さん(78)=上野動物園元園長=は羽咋市を「山に挟まれ、田んぼのある環境が佐渡の国中平野に似ている」と評価する。

 国中平野は佐渡市の中央部に広がり、...

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