車の鍵のボタン電池が切れた。カバーを開けて電池の品番を確認し、忘れてはならじと、呪文のように唱えながらショッピングセンターの売り場に向かった
▼陳列棚には、ボタン電池だけでも30種類ほど並んでいた。“呪文”なしには、とても目当ての品にたどり着けなかった。ほかにも、以前からある円筒形の製品などがびっしりと鎮座していた
▼子どものころは円筒形の単1とか単3とか、身の回りにあるのはせいぜい数種類だった。一般社団法人・電池工業会によると、現在は大きく分けて約40種類、さらに形や大きさで細かく分けると約4千種類にもなる
▼便利な道具が増え、それに合わせて進化し、細分化されてきたのだろう。その半面、困った問題も浮上してきた。スマートフォンに使われるリチウムイオン電池など充電池が原因となった火災や発煙が、2020年度は全国で1万1千件以上あった
▼先日の紙面で読んだ。不燃ごみに交ぜて捨てられるなどして破損すると、化学反応で発熱する恐れがある。ことし3月には三条市清掃センターでリチウムイオン電池が原因とみられる火災があった。新潟市の清掃センターでも、19、20年度にそれぞれ100件を超える発火事故があった。捨てる際は廃棄ルールの確認が必要だ
▼車の鍵の電池を交換し終え、古い方を捨てようとした時、思い出した。使い切りタイプのボタン電池も、重なり合うと電極がショートして発熱する恐れがある。あわててセロハンテープを巻いて絶縁した。